喜喜茶の店主のひとりごと

お茶や着物のまわりのあれこれ。 日々の暮しや旅先で見つけた、あんなもの、こんなもの。

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殯の森

昨日「殯の森」の奈良特別披露試写会に行ってきました。

思えば去年の6月はじめ、この「殯の森」の舞台となった田原町でギャラリーをされているIzumiさんのイベントに参加してた時、映画の舞台となるグループホームのための家を下見に来られた河瀬直美さんに偶然お会いしたのがこの映画との最初の出会いでした。

喜喜茶は毎年7月にこの田原の茶農家さんの茶畑をお借りして「青茶(烏龍茶)作り」をしているので、この年に行ったときも時間があれば撮影の現場を見に行きたいなぁと思っていたのですが作業が忙しくて出来なくて。
でも参加してくれた皆さんに「ちょうど今この近くで河瀬さんの映画の撮影が行われているんですよ。」と話したことを思い出します。

その後Izumiさんに声をかけていただいてお葬式のシーンのはかまの着付けをお手伝いさせてもらったのは厳しい残暑が続く8月末。クランクアップまでもうすぐという日でした。

あの2ヵ月に撮影された映像は、ひとつの映画となり見事カンヌ映画祭でグランプリを受賞。
昨日の舞台挨拶で河瀬さんが最初に話された言葉は「やっとこの日を迎えることが出来ました。」。
奈良でみんなで作り上げたこの映画を一番最初に上映するのはこの奈良でという思いが強かったんだ、と。

それは観る側の私も同じ思いでした。
「ひとこまもがり」に参加したのは河瀬さんにお会いした6月のことだったのであれからちょうど1年。私がお手伝いさせていただいたことは本当にささいなことですが、少しでも関われたことはとても嬉しかったし、陰ながらずっと応援してきたのでこの日を本当に心から待ち望んでいました。

1年前には想像もしていなかったのは、私のお腹の中に子供がいるということ。
上映中なんどもお腹の中の子は動きまわり、私はそっとお腹に手を当てて一緒にこの映画を観ていることを実感していました。
最後のクレジットが流れた瞬間、私は泣いていました。

少し前に「垂乳女」を観たことをこのブログにも書きました。その時に河瀬さんの映像を観ているといつも涙が出る、と書きました。
昨日の涙はそれはとても静かな涙でした。いろんな思いがつまった涙でした。

「殯の森」はグループホームで暮らす年老いたひとりの男性「しげき」が主人公です。
私は産まれた頃から父方の祖父と一緒に住んでいました。一人っ子の私にとって小さい頃は家に帰ってからの話し相手と言えば弟代わりの柴犬か祖父でした。高校、大学、社会人と成長するにつれてだんだんと話をする機会は減り、そして祖父も年老いて痴呆が出始め私の名前も出て来なくなるようになり、同じ屋根の下に暮らしていても遠い存在になっていくのを感じていました。

それでも確かに祖父は生きていました。そして6年前のこの6月に他界してからも確かに私の中で生きているのを感じます。
祖父の他界をきっかけに旦那との真剣な交際を心に決めたことから、今の家族は祖父がつないでくれたんだとずっと思っています。そしてお腹の中には新しい家族が育っています。
今私がやっている喜喜茶の教室ももとは祖父の部屋。お稽古が終わってふと部屋の中から庭の緑を眺めた時、祖父もこうやって眺めていたんだろうなと感じることがあります。

人はいつか必ず死を迎えるけれど、消えてなくなることはない、そう思います。

その思い出や記憶が思いがけない形でやってきた時は「殯の森」の介護士の真千子のように自分を苦しめることになることもあるのだと思います。それでも人は生きていくことをしげきとの時間の中で感じていく真千子があります。

死ぬことと生きることというのを哲学的なことではなく、こんなにもごく自然に表現出来るのはやはり河瀬さんを置いて他にないと思います。

河瀬さんの今までのドキュメンタリー作品が、すべてではないですが昨日から大阪の「プラネットプラスワン」で始まっています。「垂乳女」毎日一回上映されています。
ぜひぜひ足を運んで出来るだけたくさん観ていただきたいと思います。

詳しい上映時間などはこちらに↓↓↓
http://planetplusone.com

祖父も眺めたこの庭にしずくがひとつ。私の心を映し出す。
P7053688.jpg

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  1. 2007/06/24(日) 07:46:07|
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